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身体運動文化学会第30回大会(日本大学)報告

令和7年12月6日(土)から7日(日)にかけて、日本大学文理学部キャンパスにおいて、身体運動文化学会創立30周年記念大会(第30回大会)を開催いたしました。

本大会は、「身体運動文化とスポーツ・インテグリティ」をメインテーマに掲げ、学会創立30周年という節目にあたり、これまでの研究の歩みを振り返るとともに、現代社会における身体運動文化の信頼性や倫理性についてスポーツ・インテグリティをキーワードに多角的に再考することを目的として企画されました。

大会初日は、基調講演およびシンポジウムが実施されました。基調講演では、独立行政法人日本スポーツ振興センター理事であり、ハイパフォーマンススポーツセンター長、国立スポーツ科学センター所長を務める久木留毅氏より、「国内外におけるスポーツ・インテグリティをめぐる今日的課題」をテーマにご講演いただきました。講演では、ハイパフォーマンス支援の現場で培われた豊富な経験を踏まえ、スポーツ・インテグリティの概念整理に始まり、国際的な動向、トランスジェンダー問題、環境・SDGs、AI活用など、現代スポーツが直面する多様な課題が提示されました。また、スポーツ・インテグリティを個人・競技・組織の三層構造で捉え、スポーツが社会から信頼され続けるために不断の自己点検と対話が不可欠であることが強調され、参加者に多くの示唆を与える講演となりました。

基調講演「国内外におけるスポーツ ・ インテグリティをめぐる今日的課題」
久木留 毅 氏

続くシンポジウムでは、「現代社会におけるスポーツ・インテグリティ教育の最前線」をテーマに、勝田隆氏(東海大学)、神田義輝氏(株式会社Criacao)、安永太地氏(早稲田大学)の3名が登壇し、教育や組織経営、教育学といった各先生のご専門とされる領域やお立場からご発表をいただきました。勝田氏からは、現場経験を基盤としたインテグリティの捉え方と価値共有の重要性が示され、神田氏は、スポーツ団体経営におけるインテグリティが信頼構築や持続可能性に直結することが具体例を交えて語られました。安永氏からは、予防倫理と志向倫理を組み合わせた教育実践が紹介され、参加型・対話型の学びの有効性が示されました。その後のフロアディスカッションでは、スポーツ・インテグリティを固定的な規範ではなく、対話を通じて育まれる価値として捉える視点が共有され、活発な意見交換が行われました。

勝田隆氏、神田義輝氏、安永太地氏(左から)

大会2日目には、一般研究発表および総会が行われました。一般研究発表では、身体運動文化を多様な視点から捉えた11題の発表が行われ、参加者との間で活発なディスカッションが展開されました。総会では、本年度の優秀論文として、北川修平氏の(愛知教育大学)「自己と他者の系における身体知の概念に関する研究ーモーリス・メルロ=ポンティの現象学的身体論を基盤としてー」が受賞したことが紹介されました。今大会で研究発表を行った相原太郎氏(東海大学大学院)と大原沙智氏(天理大学大学院)のお二人に若手研究者奨励賞が贈られました。

若手研究者奨励賞:大原沙智氏(天理大学大学院)、相原太郎氏(東海大学大学院)

また、大会初日の夜には創立30周年を記念した祝賀会が催され、学会創設期から現在に至るまでの歩みを振り返るとともに、世代や専門分野を超えた交流が深まりました。学会の理念である学際性と新たな研究領域への挑戦の重要性が改めて共有される貴重な機会となりました。

創立30周年記念祝賀会

以上のように、本大会は、学会創立30周年にふさわしく、身体運動文化とスポーツ・インテグリティの意義を再確認し、今後の学会と社会との関わりを展望する有意義な大会となりました。ご参加・ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

身体運動文化学会第30回大会 大会実行委員
川井良介(日本大学)  
大野達哉(サレジオ高専)
北澤太野(天理大学)  

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