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身体運動文化学会第23回大会(大阪教育大学)報告

2018 年12 月8 日(土)~9日(日)、大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて身体運動文化学会第23回大会が開かれました。大阪教育大学のご後援を受けた今大会は「知性・笑い・人間」をテーマに多くの会員および非会員のご参集のもとで開幕致しました。
初日の記念口演では、上方落語の若手筆頭格である桂吉坊氏をお招きし、落語実演をいただきました。口演においては大阪ゆかりの「天王寺詣り」など2席の落語を実演いただいたばかりではなく、初めて落語に出会う方々に対して落語の魅力について解説をいただきました。さらに質疑応答では落語の修業法についての質問に、落語界の伝統的な稽古である「三遍稽古」――師匠が弟子に同じ噺を日毎に三度聞かせ、弟子がそれを真似ることで話芸を磨く稽古――について解説をいただきました。また平素における厳しい生活模様や吉坊師匠が得意とされる日本舞踊のお話を交え、身体運動文化としての笑いを考える上で相応しい落語界若手の名演にフロア一同が浴することとなりました。
続く大会シンポジウムでは「笑い(ユーモア)」研究、日本文化研究そしてフランス哲学各界の重鎮をお招きし、「愉悦を生きる人間~身体・文化・そして笑い~」のシンポジウムテーマのもと、活発な討論が行われました。
今回のシンポジウムでは、はじめに森下伸也氏(関西大学人間健康学部教授)より「人はなぜ笑うのか――笑いを科学する」、続いて山田奨治氏(国際日本文化研究センター教授)より「禅・日本文化における笑い」の講演が行われ、さらに瀧一郎氏(大阪教育大学)による「笑いの美学」と題した講演が行われました。それらの講演ののちにシンポジスト相互による確認事項を踏まえた質問、さらに司会による各シンポジストへの質問によって討議の端緒が開かれ、フロアを交えた活発な討論が始まりました。人が末期に見せる微笑の意味、身体運動と笑いの関係をめぐる議論、日本文化に息づく笑いの伝統と武道との関連など、本シンポジウムは参加者によって最後まで熱心な意見交換が行われる討議の場となりました。
大会2日目には一般研究発表が行われました。人文社会学系、自然科学系など様々な分野から予定通り8人の発表者によって研究成果がフロアに問われました。様々な分野の研究者が集い、学際的な議論が行われるのは本学会の特徴でもあります。本年もこれまでの年次大会と同様、どの研究発表に対しても活発な質疑応答が行われ、学会員の精力的な研究活動を裏付けるものとなりました。

今大会は大阪教育大学のご後援に加えて非学会員、補助学生、協賛各社による多大なるご支援に支えられることで開催の運びとなりました。初日そして二日目と終始の盛況ぶりを以て成功裡に閉幕を迎えることができたのは大会参加各位ならびに大会協賛各位、さらに本大会をあらゆる面にわたってご支援いただきました関係各位の尽力に拠るものであり、この場を借り改めて心より御礼を申し上げます。(文責:林 洋輔[大阪教育大学])

 

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